〈大手専門小売チェーンのポイントシステム新規導入支援〉
ステージ制のポイント会員サービス設計コンサルからベンダー比較、システム導入、PMO支援まで
全国に数百店舗を展開する専門小売業が新会員サービスをリリース。
値引き中心のサービスから、CRM/LTVを見据え、お買い物でポイントが貯まるポイントサービスに切り替え、ポイント管理システムを新規導入し会員アプリも同時リリースしました。新会員サービスの導入検討からサービスリリースまでのプロセスをご紹介いたします。
【依頼の背景】
当社は従来、値引きサービスを主要な顧客施策としていました。しかし、値引きの訴求を重ねることは利益を圧迫するため、値引き中心のサービスから、CRM/LTVを見据えポイントサービスへの変更を検討していました。
また専門小売業ならではの施策として、ステージ制度を導入し、お客様のロイヤルティに応じた特典を提供したいと考えていました。
ただ、漠然としたイメージはあったものの、サービス設計、会員管理、ポイント管理のあり方、基幹システム、ECサイト、POSの連携など、実現に向けての課題は山積みであり、社内のリソースだけではこれらの課題整理は困難でした。
そんな折、ポイントサービスを専門にコンサルティングを行っているエムズコミュニケイトを知り、コンサルティングを依頼。現在の値引き一辺倒の施策から、ポイントサービスへの切り替えに向け、論点整理を行いながら、お客さまと我が社にとってあるべき会員サービスについて共に考え、LTVの最大化を見込める新会員サービスを構想しました。
しかし、その新会員サービスを実現するため、具体的なシステム構築を検討していく段になって、いろいろな課題があることが分かりました。
【ポイントシステム導入の障壁】~あるべきCRM像とシステム構築のギャップ~
具体的に生じた課題は以下のようなものでした。
当初、優良顧客である提携カード会員を軸にした設計を考えていましたが、個人情報取り扱いの規定により、会員IDとして利用することが難しいということがわかりました。優良顧客を囲い込み、CRMによってロイヤルティを育成しようとしていた顧客戦略は、それを実行するシステムについてゼロから仕切り直しをしなくてはいけなりました。
しかもその一方で、社内側の課題として、店舗管理、商品管理、店頭POS管理、ECなどの多岐にわたるシステムを、顧客IDベースで連携できるよう基幹システムとPOSシステムの改修を中心とした再整理が必要であることもわかりました。
これは同社に限らずよく直面する課題で、情報連携のあるべき姿を、商品軸から顧客軸で再構築しようとすると、どうしても従来のシステム構成では対応できない箇所が生じてしまいました。これらの解決のためには、サービス全体のグランドデザインを描いた上で、ビジネス要件を整理し、必要な改修の範囲を規定していく必要があります。
あらためて、ポイントサービス導入に向けて、システム側に生じたこれらの課題を整理し、導入に向けてのコンサルティングを引き続き進めて行いました。
また、新規に導入するポイント管理システムベンダーについては、通常、複数社のベンダーから情報収集をし、どのような機能を持っているかをヒアリングするところから行うのが一般的ですが、リリース次期から逆算して確実なベンダー選定が必要でありました。そこで、エムズのこれまでの経験から予算感にマッチするポイントベンダーの絞り込みを行いました。
ここにおいてもスピーディにポイント管理システムベンダー比較を行い、機能面、コスト面、既存システムとの接続の親和性、対応面、納期含め、新会員サービス導入に合ったベンダーの選定を実施しました。
【システム導入PJ支援(PMO)について】
ポイント管理システムの導入は、ポイント管理システムベンダーと基幹システムとの連携を中心に、各種既存ベンダーを巻き込んでの一大合同プロジェクトです。今回は、ECシステムやPOS,さらにはアプリとの連携もあるので、社外の既存ベンダーだけでなく、社内関係部門も多数参加してのプロジェクトとなりました。
予定のサービスリリースに向けて、要件定義を詰めていく過程では、提供したいサービスが当初の想定から膨れあがったり、サービスの実現方式についてシステム的に処理が難しいものをどうするかといった議論をまとめるプロセスにおいて、あるべき姿や方向性について整理し、リリースまでに必ず完了すべき要件と二次開発以降で対応すべき要件とを切り分けるなどの調整も行いました。
また、値引きサービスからポイントサービスに切り替えるにあたり、リリースに向けた社内業務の洗い出しと全体像の提示を行いました。今回のPJに限らず、ベンダー主導でプロジェクトを実施するとシステム構築までがゴールとなってしまい、お客さまへのリリースも含めた業務全体として何をしなければいけないかという視点が抜け落ちてしまうため、それらを客観的に見て取りまとめる役割をエムズが行いました。