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TポイントとVポイントの統合。今後の共通ポイントの動向とは?

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エムズコミュニケイト岡田 祐子

代表取締役社長/ポイントマーケティングラボ所長/日本リテンション・マーケティング協会理事株式会社エムズコミュニケイト
■ 2003年に国内唯一のポイントサービスコンサルティング会社エムズコミュニケイトを設立、ポイントサービスやCRM・顧客戦略分野のコンサルティングや各種講演、執筆活動を行っている。 ■ 「ガイアの夜明け」にも出演。番組は反響を呼び、日経文庫にも掲載された。 生活者に支持されるポイントサービスを「ポイントブランド力」とし、そのランキングを定点的に発表。 ■ 著書:「成功するポイントサービス」(日経MJの推薦書/丸善ビジネス書10位内ランクイン) ■ 2016年から総務省マイナンバーカード利活用に係る「マイキープラットフォームによる地域活性化方策検討会」におけるポイントサービス有識者として地域経済応援ポイントに関する推進役を担っている。

株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)、三井住友カード株式会社(SMCC)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCCグループ)、CCCMKホールディングス株式会社(CCCMKHD)は、SMBCグループが提供する「Vポイント」とCCCグループが提供する「Tポイント」を統合することを発表しました。(2023年6月13日時点)
そして、新たな『Vポイント』が2024年4月22日に提供が開始されます。

ソフトバンクとヤフー陣営が有するPayPayの参入によって、激動の最中にある共通ポイント市場にさらなる波が立ち上ってきています。

本記事では、両ポイントの統合の概要から背景、今後の共通ポイント市場の動向まで、詳しく解説していきます!

〈この記事はこのような疑問にお答えします!〉

  • TポイントとVポイントの統合で何が起きるの?何が変わるの?
  • Tポイントカードは使えなくなる?
  • Vポイントって何?
  • ポイントの導入を考えていて、共通ポイントの今後の動向は?

 

【概要】VポイントとTポイントの統合

2022年10月3日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCCグループ) と三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)が資本・業務提携に関する基本合意書を締結したと発表されました。

両社のプレスリリースによると、CCCグループの「Tポイント」とSMBCグループの「Vポイント」がそれぞれの強みを掛け合わせ、互いのポイントの貯まりやすさ、使いやすさを大幅に向上させることを目的として両ポイントを統合し、新たにポイントサービス開始を視野に入れた基本合意であることがわかります。

T会員7,000万人のCCCグループカード会員と5,200万人のSMBCグループの統合とあり、発表当初は単純計算で総会員数が1億2,200万人の国内最大級となると報じられました。
しかし実際には、SMBCグループのカード会員の5,200万人のうちVポイント会員数は2,000万人であるため、単純計算の総会員数は9,000万人になるといわれています。

新ポイント『Vポイント』は、2024年4月22日に提供開始されることが発表されました。

https://www.smbc-card.com/camp/vpoint_cc/index_3.html?dk=cpc-goo-brd-pr-212891より)

そもそもTポイント、Vポイントとは?

(https://www.smbc-card.com/camp/vpoint_cc/index_3.html?dk=cpc-goo-brd-pr-212891より)

Tポイントとは、2003年にCCCグループが運営を開始した共通ポイントの老舗で、名寄せ後の利用会員数は7,000万人、提携店母数15万店舗で利用されています。

キャッシュレス決済や現金払いなどのあらゆる決済手段で、Tカード/モバイルTカードを提示するとポイントが貯められ、支払いにポイントを使うこともできます。

一方のVポイントは、2020年6月にSMBCグループのグループ内共通ポイントです。
三井住友カードでの決済や三井住友銀行での取引、プロミスの利用などでポイントを貯められます。
貯まったポイントは買い物や支払い金額の充当のほか、景品交換や他社ポイントへの移行、また三井住友銀行でのオンライン振込時に手数料の割引として使うこともできるサービスです。

新ポイント『Vポイント』とはいったいどんなサービス?

「たくさん貯めて、どこでも使う。」がタイトルにあるように、従来の「Vポイント」よりも、貯めやすく・使いやすくなり、あらゆる金融・非金融サービスをつなぐようになるとともに、
SMBCグループやSMCCの提供するデジタル金融サービスをお得に利用できるようになります。

また、CCCグループはTカードが「パスポート」のような存在となることを目指しており、新『Vポイント』はスマートフォンがあれば日本でも世界でも利用できるサービスを提供すると発表しています。

Vポイントになると何が変わるの?Tポイントはなくなる?Tポイントカードは?

Vポイントの誕生によって変化する点は、「貯まる」「使う」が広がる、加速するという点です。
具体的には、新Vポイントでは該当店舗でスマホのタッチ決済をすると、最大7%のポイント還元されます。

さらに、現在貯めているのがTポイントであってもVポイントであっても、今まで通りお持ちのポイントを貯めて、今まで通り1ポイント=1円として利用できます。

また、新Vポイント特設サイトによりますと、全国のTポイント提携先とVisa決済加盟店、iD対応加盟店や、世界のVisa加盟店でポイントが貯められる、使えるようになります。
さらに、ネットでも該当カードの利用でポイントが貯められます。

 

TポイントとVポイントのそれぞれの利用でポイントが貯まることはもちろんですが、三井住友カード等の併用をすれば、ダブルでポイントが貯まるというのも大きな特徴として挙げられるでしょう。

(https://www.smbc-card.com/camp/vpoint_cc/index_3.html?dk=cpc-goo-brd-pr-212891より)

 

一つ注意点とするならば、TポイントカードはTカード、モバイルTカードの利用が引き続き可能ですが、Visa加盟店での利用にはスマートフォンアプリ「Vポイント」への登録が必要となります。

また、Vポイントのご利用でも同様、専用スマートフォンアプリ「Vポイント」が必要となり、登録すればTポイント提携先でも引き続きポイントが貯められるようになります。

(https://www.smbc-card.com/company/news/news0001713.pdfより)

【背景】共通ポイント市場の競争激化

TポイントとVポイントの統合の裏には、どのような背景があったのでしょうか。

新ポイントサービスの提供に向け、SMFGとSMCCは、2023年4月10日にCCCMKHDへの出資を完了し、CCCMKHDは発行済み株式の60%をCCC、40%をSMBCグループが保有する会社となりました。

両社グループのポイントサービス統合に向けた話し合いは、2022年夏に始まったとする報道もあり、今回の基本合意の締結が9月30日だったことから、スピード合意が行われたことが分かります。

このスピード合意の背景にあるのは、共通ポイント市場の競争激化に伴うTポイントの危機感だといわれています。

2003年に本格的に運用が始まったTポイントは、当時は業界横断で一業種一社に限定したパートナー選びを行い、各業界の大手同士が送客し合うことを主軸にした非常に画期的なビジネスモデルでした。
このようにポイント事業の草分け的存在のTポイントですが、提携先の離脱の動きが見え始めると、築き上げた企業同士の網の目が崩れ行くばかりで、連鎖的に衰退していきました。
ファミマのマルチポイント化や、ソフトバンク・ヤフー陣営のPayPay運用開始は、Tポイントにとって特に大きな打撃だったといえるでしょう。

また、消費者も複数の共通ポイントを利用するようになり、加盟店側もマルチポイント化を進めたり、Tポイントから離脱したりする動きが顕著になったことで、企業・店舗がTポイントを導入すること、消費者がTポイント会員になることの本来のメリットは薄くなりつつあります。

そして現在、共通ポイント市場の顔ぶれはTポイントの他、dポイント(ドコモ)、Ponta(au)、楽天(楽天モバイル)と、新生のPayPay(ソフトバンク)、と携帯キャリア4社が並んでおり、今ではポイントビジネスの主戦場が「スマホ上」となっています。

自社のスマホユーザーをそのまま囲い込む携帯キャリア4社に比べ、他事業との連携が薄いTポイントの優位性は以前ほど高くはなくなっているのです。

このような共通ポイント市場のこれまでの流れとTポイントの衰退を前提として、この度TポイントとVポイントの統合のニュースが流れたのです。

以下の記事では、PayPayの共通ポイント市場参入について詳しく解説しています。
本章の内容と併せてご覧いただくと、共通ポイント市場の昨今の動向をより深くご理解いただけると思います!ぜひリンクよりご確認ください!!

【レポート】PayPay 2022年10月より共通ポイント市場に参入

では、このような経緯の末に発表されたこの度の統合により、両社にはどのようなメリットが生じるのでしょうか?

Tポイント、Vポイント双方へのメリットとは?

CCCグループ側のメリット

  • 後ろ盾の獲得

上にもあるように、共通ポイント各社はモバイルキャリアという後ろ盾を有している一方で、TポイントはCCCグループ単体で運営されてきました。SMBCとの統合は、金融業界大手の後ろ盾を得ることとなり、新たなポイント運営の基盤を固めることに繋がるといえるでしょう。

  • ポイントを利用できる店舗の拡大

Vポイントとの統合を受け、Vis加盟店もポイント利用可能店舗となるため、その利用シーンは大幅に増える見込みです。
ポイントを利用できる機会が増えるということは、共通ポイントを導入する企業側としても、より多くの消費者を囲い込めるチャンスが得られるため、
現在加盟企業の離脱が相次いでいるTポイントですが、新ポイントとして巻き返しを図れるかもしれません。

SMBC側のメリット

  • ポイントサービスとしての汎用性向上

これまでVポイントはクレジット決済でしかポイントを貯めることができず、またポイントの利用方法は交換が中心で、支払いに使うことが出来ませんでした。
新たなカードでは、クレジット決済をせずともポイントを使え、また支払いをポイントで行うこともできるため、消費者の利用シーンが広がります。

  • 知名度向上

また、これまでVポイントの知名度は決して高いものではありませんでした。
Tポイントという共通ポイントの老舗との統合となると、こうしてニュースとしても取り立たされているように、知名度向上の効果は言うまでもないでしょう。

【動向】今後の共通ポイント市場

では、今後の共通ポイント市場はどのような道筋を辿っていくのでしょうか?

先にも触れた通り、ポイントサービスの主戦場がスマホとなったことから、共通ポイントをマルチ利用するなど、
通称「ポイ活」(ポイントを貯めたり、貯まったポイントを活用したりすること)を行って賢くポイントを活用する消費者が増えています。
ポイントサービスの本来の目的である「顧客の囲い込み」と「ターゲティング」が、賢い消費者の行動により叶えにくくなっているというわけです。

結果として、共通ポイント各社は過剰な還元を行い、体力勝負の競争を行う動きが見られます。
この傾向は、各社が経済圏による囲い込みと引き換えに疲弊していくこととなり、将来的には競争からの離脱を招く可能性もあるとの見方もあります。

当サイト「ポイントマーケティングラボ」を運営する株式会社エムズコミュニケイトとしても、この度のTポイントVポイントの統合を受け、各種メディアにコメントを寄せています。

【2023/10/03放送 TV東京 ワールドビジネスサテライト】株式会社エムズコミュニケイト代表兼ポイントマーケティングラボ所長岡田
「ポイントの払い出しコストもあり、手数料も下げなければいけない中でこのままだと事業会社が疲弊してしまう。その先のビジネスモデルをどう作っていくかが要になる。」

【2022/10/04 zakzak by 夕刊フジ】株式会社エムズコミュニケイト取締役山根
「他社が決済と連携したポイント付与に力を入れる中、Tポイントは決済が一番弱かった。キャンペーンも乏しく、三井住友カードとの連携でどれだけ巻き返せるかが注目だ」

まとめ

TポイントとVポイントの統合について、ご理解いただけましたでしょうか。

一消費者としても、ポイント導入を検討する一担当者としても、今後の共通ポイントの動向は注視し続ける必要がありそうです。
(参考:https://diamond.jp/articles/-/310904?page=2, https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/04/news065.html)

本サイトでは、これまでにもTポイントの動きやPayPayが参入した共通ポイント市場のトレンドについて取り上げてきました。以下のリンクより、過去の記事もお読みいただくと、この度のニュースへの理解も一層深まるかと思います!
ぜひ、本記事と併せてご覧ください!!

相次ぐTポイントからの離脱…理由と今後の共通ポイント市場の動きとは

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