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エムズコミュニケイト岡田 祐子
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こんにちは。CRM/ポイントサービスコンサルティングのエムズコミュニケイト(2018年4月に大日本印刷グループよりMBO致しました)が運営するポイントマーケティングラボ編集部です。
こちらのサイト、ポイントマーケティングラボでは、企業・事業会社のマーケティング・販売促進の担当者・事業責任者の方々に向けて、ポイント制度の導入やCRMのノウハウについて、プロの視点から惜しみなく情報を発信して参ります。是非ご参考にしていただければ幸いです。
ポイントカードを導入やポイントサービス導を検討されている企業担当者様ですと、ポイントカードの導入・ポイントサービスに関する法律にはどのようなものがあるかなどの疑問が浮かばれると思います。
既に、ポイントサービスを運用している、もしくはポイントサービスをこれから導入している企業にとって「ポイントサービス」と「法律」は重要な論点となります。
というのも、ポイントというのは金銭ではないにしろ、購入者に対して金銭と同等の価値をもたらすものであるため、法律上いくつか注意しておかなければならない点があるのです。
よく質問されるのが、「景品表示法について」や「資金決算法について」。
今回は、「知らなかった!」では済まされない、法律関係について探っていき、ポイント制度に関するガイドラインについて詳しくお伝えいたします。
ポイントサービスにおける法律知っていますか?
では早速、ポイントサービスにおける法律関係の懸念点はどういったものがあるでしょうか?いくつかポイントをまとめてみます。
1.ポイントを発行する際、「景品表示法」「資金決済法」はどのようにかかわってくるのか?
ポイントサービスから発行されるポイントと、SuicaやEdyやPASMO、nanacoなどのいわゆる電子マネーと呼ばれるものは、法律上でも扱いが異なっています。
こういった電子マネーと言われるものは、前払い式で顧客が支払った対価として発行される金券のようなものです。
このように企業いわゆる事業者が消費者(利用者)から金銭的な『対価』を得ている状態である場合、「資金決済法」という法律が適用されます。
それに対して、ポイントサービス(ポイントサービス)から発行されるポイントは、この資金決済法には該当しません。
というのも、金銭的な「対価」としてではなく、あくまで、企業からの景品やおまけとして発行されていると解釈されているためです。
では、ポイントサービスとしてのポイントはどの法規制にも該当しないということでしょうか?
そこで次に、懸念点として挙がるのが、「景品表示法」という法律です。
自社の発行する「ポイント」が、景品表示法2条3項の規定している「景品類」に該当する場合、発行されるポイントに関して制限を受ける可能性があります。
2.景品表示法で、どのように制限されるのか?
同法で制限される項目とはどういった項目でしょうか?
制限される可能性があるのは、ポイントの最高額や総額などが、それに当たります。
例えば、事業者が自己の商品・サービスの取引に附随して、もれなく提供できる「景品類」は、1,000円未満であれば200円までで、1,000円を超える場合はその取引価額の2割までとされています。
3.「景品類」に該当するのかどうか?
景品類に当たるかどうか、というのは大きく分けると2つのポイントに分けて考えなければいけません。
①景品表示法2条3項に定める「景品類」に当たるかどうか
「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、内閣総理大臣が指定するもの」(景品表示法2条3項より)に当たれば、景品類です。
しかしこれには例外があるので、次のポイントを考慮しなければいけません。
②例外に当たらないかどうか
例外というのは、「不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件」(昭和37年公取委告示第3号)において
それが明記されています。
参考 :不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件 (消費者庁)
この通称「定義告示」には、「値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益及び正常な商慣習に照らして当該取引に係る商品又は役務に附属すると認められる経済上の利益」(昭和37年公取委告示第3号)であれば、「景品類」に当たりません。
では、この「値引」というのは、どういった定義になるのでしょうか?
「値引」の定義については、通称「定義告示運用基準」というものに記されています。
元々「景品類等の指定の告示の運用基準について」というものですが、ここには
「取引通念上妥当と認められる基準に従い、取引の相手方に対し、支払うべき対価を減額すること」
又は「支払った代金について割り戻しをすること」を値引としています。
つまり、顧客側がその時に購入した商品が減額された場合に限らず、次回購入の商品が減額される場合も「値引」として認められています。
実はこの2つのポイントを鑑みると、
値引は値引でも、「自社の取引での支払いの一部にのみ充てられるもの(自社ポイント)」か
「自社だけでなく他社でも共通・同額で、取引での支払いの一部に充てられるもの(いわゆる共通ポイント)」かどうかで、
「値引」に該当するか「景品類」に該当するか大きく分かれます。
というのも、自社ポイントの場合、その事業者自身の商品等を減額するのですから、当然「値引」になります。
しかし、いわゆる共通ポイントの場合は、ポイントを発行した事業者の商品等を減額するだけではなく他事業者のものも減額するため、「値引」ではなく「景品類」※)に該当することになります。
※)ただし、この場合は総付規制の適用除外となるため、景品類に該当したとしても総付景品規制が適用されないことをご留意ください。
ただ、自社ポイントであっても「値引」以外の特典(自社商品や他社商品等)がひとつでも存在すれば、「景品類」としてみなして運用する必要が生じてきます。
よって、世の中の大半のポイントサービスは景品表示法の制限を考慮した設計となっているのが実情なのです。
ポイントサービスの有効期限や廃止された場合の法律って?
では、ポイントサービスの有効期限や廃止に関する法律はあるのでしょうか?
ポイントサービスに関しては、原則的には事業者が自由に設定できます。
そのため、顧客に対して『利用規約』によって同意を得れば、いかなる有効期限も設定は可能です。
ですので、有効期限を1年にしている企業もいれば、無期限にしたとしても、特に法律で規制を受けることはないのです。
しかし、顧客がポイントを購入して、それが利用できないような短い期間を設定したり、事業者が悪意があるような設定をしている場合、それは消費者契約法によって無効になる可能性もあります。
このように同法10条には、消費者の利益が一方的に害される場合において、その条項が記された規約等は無効になります。
また、契約内容は利用規約に応じて、自由に設定ならびに変更もできますが、事前予告等なく、ポイントサービスを廃止し、ポイントを失効させたとしましょう。
その場合は、上記同様に、顧客・消費者に対して多大な不利益をもたらしますので、それも無効になる可能性が高いです。
判例でも、利用規約等に記載がなくても、そういった一方的な消費者不利益をもたらすような事態が起きた場合、消費者の利益を認めるケースがあるので、事業者は気を配らなければならないところです。
現在、規制といった事項や法規制で制限していないのは、事業者に対して自由さを考慮していて、企業努力を期待しているからと言われています。
そういった背景もあるので、ポイントサービスを提供する企業側としては、消費者の利益を十分に考慮した利用規約を作成することが薦められるでしょう。
また、混乱を招くような表記は避け、顧客側に理解できるような明記を心がけるべきでしょう。
まとめ〜【必読】ポイントサービスと法律について
ポイントサービスを始める、もしくは運用するにあたって、法律に抵触するかどうかは事業者にとっては一番の懸念点でしょう。
景表法や業界内規制ルールに基づいた設計を行うには、それなりの準備が必要ということになります。
また、2021年から対象企業に適用されるポイント会計制度変更についても本ラボ代表の岡田が言及していますので、下記リンクからご覧ください。
【ポイント会計制度変更】ポイント会計制度変更において押さえておくべきこと~「税務弘報」2019年2月号にポイント会計制度が特集されます。
ポイントサービス導入をご検討の会社様は、弊社エムズコミュニケイトにご相談ください!
①国内唯一・取り組み実績(エムズコミュニケイト)
国内で唯一のポイントサービスに特化したマーケティングコンサル会社です。これまでのポイントサービスの導入・改善支援は300社以上あり、通販、小売り、サービス、金融、鉄道・航空、ガス電力など幅広い業界において実績があります。
※ポイントサービス導入改善に関する国内初の指南書を出版
②サービス設計からシステム導入・運用までワンストップ支援
顧客課題を解決するサービス設計からシステム導入・運用まで、ポイントサービスにまつわる業務全般をワンストップでお受けすることが可能です。ポイントサービス戦略設計、システム構築、個人情報管理、運用支援、プロモーション、カード発行、コールセンター、ポイント交換商品の発送管理など上流~運用までを網羅的にサポート可能です。
③ポイントサービス運用に関する法的・会計面のサポート
ポイントサービスの運用に必要な法的(景品表示法)、会計面(2021年から上場企業に強制適用されるポイント会計)において十全なノウハウを保有しサポートします。
※ポイント会計についてはEY新日本監査法人への執筆協力で『ポイント制度のしくみと会計・税務』(中央経済社)を出版。
④中立性を加味したシステムベンダー紹介
ポイントサービスのコンサルティング支援にあたり、ポイントシステムベンダーについては、中立性を重要視しております。貴社のニーズにあったベンダー紹介および、システムのカスタマイズ提案が可能です。