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ポイント経済圏の拡大と進化~2028年には約3兆3千億まで拡大~ 今後の共通ポイントサービス市場動向を専門家が分析

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エムズコミュニケイト 佐藤 信二

CRM・ポイントサービスの導入・改善コンサルタントとして100案件以上のプロジェクトをマネジメント。担当業界は、小売り・流通、金融、電力・ガス、IT、通販、通信キャリアなど幅広く網羅。生活者を対象としたポイントサービス感度調査を業界で初めて実施。アンケートリサーチを強みとしたロジックに基づくコンサルティングを強みとしている。

こんにちは。CRM/ポイントサービスコンサルティングのエムズコミュニケイト(2018年4月より大日本印刷グループからMBO致しました)が運営するポイントマーケティングラボ所長の岡田祐子です。

こちらのサイト、ポイントマーケティングラボでは、企業・事業会社のマーケティング・販売促進の担当者・事業責任者の方々に向けて、ポイント制度の導入やCRMのノウハウについて、プロの視点から惜しみなく情報を発信して参ります。是非ご参考にしていただければ幸いです。それでは、以下から本題です。

2024年、日本のポイントサービス市場は急速な成長と変化を遂げています。この進化は、市場規模の拡大、新規参入企業の増加、ポイント運用サービスの普及、そして若年層の重要性の高まりなど、多岐にわたります。

本記事では、利用者と運営企業の双方の視点から、現在のポイントサービス市場の主要な傾向と今後の展望を簡潔に解説していきます。ポイント経済圏の拡大が進む中、この市場動向を理解する事で、効果的なポイント活用や戦略立案に役立てていただければと思います。

2024年のポイントサービス市場動向

急速な成長と変革を遂げている2024年のポイントサービス市場について、本記事では、以下の4つの重要なポイントに着目して市場動向を分析します。

  1. 日本のポイントサービス市場規模・現在の動向と未来予想
  2. ポイントサービス市場への新規参入とそれによる競争激化
  3. ポイントは運用する時代へ。新しいキーワードは「投資」
  4. ポイント市場における若年層の重要性

これらの要素は、ポイントサービスの拡大と多様化を促進し、消費者行動や企業戦略に大きな影響を与えています。市場規模の拡大が続く中、各企業の競争戦略や新たなサービス展開が注目されています。

①日本のポイントサービス市場規模・現在の動向と未来予想

矢野経済研究所の調査によると、日本のポイントサービス市場は着実な成長を続けています。2023年度の市場規模は約2.7兆円に達し、2024年度にはさらに拡大して約2.8兆円になる見込みだと言います。この成長の背景には、主に以下の要因が挙げられます。

  1. コロナ禍からの回復
    多くの業種で消費が2019年度以前の水準に近づいており、ポイント発行額は拡大基調にある。
  2. キャッシュレス決済の進展
    コード決済やクレジットカードの取扱高増加により、ポイント発行額が伸長している。
  3. 「ポイ活」の一般化
    消費者のポイント獲得に対する意識の高まりが、ポイント発行額増加の要因となっている。

また、2028年度の国内ポイントサービス市場規模は3兆2,838億円まで拡大すると矢野経済研究所の調査では予測されています。この成長の要因としては、キャッシュレス決済の普及率上昇、ポイント経済圏の拡大、共通ポイント加盟店の拡大、ハウスポイント(自社ポイント)提供企業の増加が挙げられています。
さらに、新たな業態でのポイントサービス活用も進むと予想されており、会員データの獲得にも重点が置かれるようになると予想されています。

ポイントサービス市場 キーポイント「経済圏の拡大」

共通ポイントサービス提供事業者は、自社やグループ企業間で通信、金融、ECなど様々なサービスを提供し、消費者が日常的に利用する「経済圏」を構築しています。
これにより、ユーザーとの長期的な関係を築き、LTV(顧客生涯価値)の向上を目指しています。ポイントはこの経済圏内でサービスの利用促進に重要な役割を果たし、特定の経済圏にサービスを集中させるユーザーも増えています。事業者は、ユーザーのデータを一元管理することで、最適化されたマーケティング施策を実施し、今後もポイントを活用してLTV向上を図ると予想されます。

最も活用されているポイントサービスは!?主要共通ポイントを細かく比較!!

②ポイントサービス市場への新規参入とそれによる競争激化

今まで主流となっていたポイントサービス市場では、主に通信系や流通系の企業による競争でした。しかし、この企業系統に変化が起きています。

金融系や鉄道系の企業も市場に参入しているのです。
例えば、2024年5月に始まったJR東日本の「JRE BANK(ジェーアールイー バンク)」や、京王電鉄が昨年9月に始めた「京王NEOBANK(ネオバンク)」が代表例として挙げられます。

「JREバンク」は2024年5月9日にサービスを開始したJR東日本グループによる新しいデジタル金融サービスです。
サービスの特徴としては、ネット上に専用口座を開設し、通常の講座と同様に利用することができることに加えて、JR東日本グループの持つ鉄道や駅ビル等でお得なサービスを受けられます。JR東日本の片道運賃を4割引きで利用できたり、グリーン車を無料で利用できたりと、今までにはなかったサービスを提供しています。

京王電鉄が2023年9月に開始した「京王NEOBANK」も、上記サービスと同様に鉄道関連においてお得なサービスです。口座を開設・利用することでポイントがゲットでき、京王沿線エリア在住者にとってお得なサービスが用意されています。

これらの新規参入により、従来の通信系や流通系企業による競争に加え、金融系や鉄道系企業が市場に影響を与えるようになりました。
各企業は独自の強みを活かしたポイントサービスを展開し、消費者にとっての利便性が向上しています。その結果、競争がさらに激化し、ユーザーの獲得を目指す企業間での戦略的な差別化が進むことが予想され、ポイントサービス市場は一層の拡大と進化を遂げるといえそうです。

③ポイントは運用する時代へ。新しいキーワードは「投資」

ここまでお伝えしてきたポイント市場の競争激化には、その活用方法に関する変化も起きています。近年最も大きな変化といえるのは、「ポイント運用=ポイントを使った投資」です。

ポイントは運用する時代!?キーワードは「ポイントで投資」

ポイント運用サービスは日本のポイント経済圏の新たな潮流となっており、利用率は23.7%に達しています(MMD研究所の調査より)。ポイント運用に関する認知度は60代が多く締めていますが、利用率は30代が最も高くなっています。この傾向は、デジタル技術に慣れ親しんだ世代が、従来の投資方法に加えて、より身近で手軽なポイント運用に興味を示していることを示しています。特に投資経験者の利用率が46.6%と未経験者よりも2倍以上高く、既存の投資知識をポイント運用にも応用していると考えられます。
また、「ポイント」だからこそ投資に手を出せるという人もいるでしょう。特に投資初心者にとっては、「お得分」を投資に使うポイント運用の方が損がないため、心理的なハードルが下がり、手が出しやすくなっているといえるでしょう。

さらに、調査結果によると、最も利用されているサービスとして「楽天ポイント運用(51.4%)」「PayPayポイント運用(26.2%)」「dポイント投資(10.4%)」が挙げられています。これらのサービスは、大手企業が提供する信頼性の高いプラットフォームであり、ユーザーベースの使いやすさが支持されている要因と言えるでしょう。
また、継続利用意向についての調査の結果には、PayPayポイント運用(96.0%)、dポイント投資(91.0%)、楽天ポイント運用(86.0%)と、いずれも高い数値を示しています。

これらの傾向は、消費者がポイントを単なる割引だけでなく資産形成の手段としても活用し始めていることを示しており、ポイントサービス市場全体の成長を促進する可能性を示しているといえるでしょう。

④ポイント市場における若年層の重要性

ポイントサービス市場において、若年層の重要性が急速に高まっています。
J.D. パワーの「2024年共通ポイントサービス満足度調査」によると、10代から20代の若者が新規ユーザーとして市場の成長を牽引しています。2023年の調査では、この年齢層の新規利用者(1年以内)の割合が他の世代の2〜3倍の22%に達しており、新たな顧客層として注目されています。

若年層の特徴として、家族や友人の影響でサービスを利用し始める傾向が強く、新しいサービスへの移行も比較的容易です。また、デジタル技術への高い親和性を持っており、モバイルアプリを活用した高還元率サービスや、家計簿・資産管理アプリとの連携といった新しい取り組みとも相性が良いです。

これらの傾向を受けて、企業は若年層を視野に入れたサービスの開発を進めています。
例えば、PayPayなどの決済サービスや、JR東日本のJRE BANKのようなオンライン完結型のサービスが増加しています。これらのサービスはスマートフォン一台で完結し、若年層にとって使いやすいだけでなく、サービス間の連携顧客情報の一元化といった企業側のメリットも生み出しています。

今後のポイントサービス市場の成長において、若年層に特化したサービスの普及が重要な要素となるでしょう。企業はデジタル親和性の高い若年層をターゲットに、利便性の高いオンライン完結型サービスを強化し、顧客のニーズに応える必要があります。また、サービス間の連携強化やデータの一元化を進めることで、個々のユーザーに最適化された体験を提供し、競争優位を確立することが求められています。

顧客との関係構築をするには満足度を高めることが重要

今後の展望・まとめ

2024年以降の共通ポイント市場は急速に成長し、多様化が進んでいます。企業間の競争が激化する中、各社は若年層の獲得と既存ユーザーの囲い込みに注力し、革新的なサービスやポイント付与の仕組みを展開しています。
特に、モバイルアプリを活用した高還元率サービスや家計簿・資産管理アプリとの連携が目立ちます。また、AIやビッグデータを利用したパーソナライズされたサービスも増加しています。

この競争は消費者にとって選択肢の増加とサービス品質の向上をもたらし、より使いやすく価値の高いポイントサービスが期待されます。今後も技術革新と消費者ニーズの変化に応じた発展が見込まれ、ポイント経済圏は消費者生活に深く浸透していくといえるでしょう。

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国内唯一・取り組み実績(エムズコミュニケイト)

国内で唯一のポイントサービスに特化したマーケティングコンサル会社です。これまでのポイントサービスの導入・改善支援は300社以上あり、通販、小売り、サービス、金融、鉄道・航空、ガス電力など幅広い業界において実績があります。

※ポイントサービス導入改善に関する国内初の指南書を出版

「成功するポイントサービス」(WEVE出版)

サービス設計からシステム導入・運用までワンストップ支援

顧客課題を解決するサービス設計からシステム導入・運用まで、ポイントサービスにまつわる業務全般をワンストップでご支援することが可能です。ポイントサービス戦略設計、システム構築、個人情報管理、運用支援、プロモーション、カード発行、コールセンター、ポイント交換商品の発送管理など上流~運用までを網羅的にサポート可能です。

③ポイントサービス運用に関する法的・会計面のサポート

ポイントサービスの運用に必要な法的(景品表示法)、会計面(2021年から上場企業に強制適用されるポイント会計)において十全なノウハウを保有しサポートします。

※ポイント会計についてはEY新日本監査法人への執筆協力で『ポイント制度のしくみと会計・税務』(中央経済社)を出版。

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ポイントサービスのコンサルティング支援にあたり、ポイントシステムベンダーについては、中立性を重要視しております。貴社のニーズにあったベンダー紹介および、システムのカスタマイズ提案が可能です。

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