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エムズコミュニケイト岡田 祐子

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PayPayが2022年10月より共通ポイント市場に参入することが発表されています。現時点での共通ポイント業界は、dポイント、Ponta(ポンタ)、Tポイント、楽天ポイントの4社ですが、PayPayの参入に伴い、共通ポイント事業者はこの大手5社が競争状態となります。
PayPay共通ポイント参入の経緯
PayPayは2020年度において共通ポイント各社と比較し、PayPayボーナスだけで2位ぐらいの金額を発行しており、ポイントを他社に開放することによって、2023年には業界1位の発行額となる共通ポイントに成長させたい考えがあります。(1位の楽天ポイントは2020年で4,700億ポイントを発行、累計では5兆ポイント以上を付与していますが、2022年下期には逆転の射程圏内に入ることを見通しています。)
PayPayポイントの解放概要

- PayPayでの決済利用など、ソフトバンクグループ内での利用に対するインセンティブとしてPayPayポイントを付与しますが、10月以降はこれをグループ外へと開放。希望すれば企業はポイントをPayPayから購入し、それを自社の利用客に対して、決済金額に応じて付与することを可能としています。
- 100万ポイントまで10%のPayPayポイントを還元するというキャンペーンを実施した場合、飲食店がPayPayから100万ポイント分を購入して付与する店舗独自のキャンペーンを実施できます。(従来なら、PayPayがキャンペーンを実施しない限り、PayPayによるボーナス還元を提供できませんでした。)
- PayPay決済を導入していない企業でも、支払額に応じてPayPayポイントを貯めることができます。
PayPayとキャッシュレス決済の現状
- 利用者数が累計で4,700万人を超え、決済取扱高は4兆円超。PayPayクーポン利用者も、2022年3月時点で1,000万人を突破しています。「決済動向2022年4月調査」(インフキュリオン社調べ)によると、QRコード決済アプリの利用率でPayPayは「楽天ペイ」や「d払い」などを抑えて1位となっています。
- コンビニエンスストアはNewDaysに対応したことでほぼ制覇し、さらには全47都道府県の自動車税、1,129自治体の市税などの支払いにも対応したことで利用範囲も広がりました。
- 日本のキャッシュレス比率の伸び率は7年間で平均2%、2010年から2015年で5%しか上がっていませんでしたが、ここ5年は11.5%増と急拡大。このままの勢いで行けば、政府目標の「2025年にキャッシュレス比率40%」は、1年前倒しとなる2024年に実現できる、との予測が立てられています。
PayPayポイントその他の特徴
- PayPay銀行やPayPay証券、PayPayカードや保険などとの連携でユーザーの囲い込みを図っています。
- 「貯める」・「支払う(使う)」に加え「運用する」ことも可能なのも特徴です。

(https://paypay.ne.jp/guide/point/より)
【2025年時点】PayPayから考える最近のポイント市場
2022年に決済サービスだけではなく、共通ポイントに参入したPayPay。
2025年時点ではお財布を持たずとも、スマートフォンにPayPayとクレジットカードが入ってさえいれば大抵のお買い物が出来るようになっています。
そんな便利の最先端にいるPayPayは、近年さらなる進化を遂げています。
PayPayサービスの拡充と利便性の向上
PayPayは、インバウンド需要に対応するため、海外のキャッシュレスサービスとの連携を強化しています。
今では、タイ、マレーシア、フィリピン、台湾などのサービスとの連携により、10億人以上のユーザーがPayPay加盟店で決済可能になっています。
数年後には、日本を出てもPayPayがあれば決済できるような海外旅行の在り方になっているかもしません。
利便性の向上という面では、インターネット社会だからこその弊害を解説した施策もPayPayならではです。
PayPayは、国内主要コード決済で初めてインターネット接続なしでも決済できる機能を搭載しました。これにより、電波が弱い場所や通信の悪い場所でも決済が可能になり、常にストレスなく使えるようになっています。
更には、近年普及と拡大を続けているオンラインサービスの大半で、PayPayによる決済が可能になっているのも大きな特徴です。
海外サイトであってもPayPayで決済できることは画期的であり、即日購入というオンラインショッピングの魅力を後押ししているといえるでしょう。
今後の展望
加盟店開拓という視点で、PayPayがライバルとの違いを出すための鍵を握るのが、ユニクロを傘下に持つファーストリテイリングや家電量販最大手のヤマダホールディングスといった共通ポイントを採用していない企業の獲得と言われています。またPayPayの共通ポイント参入はキャンペーン参加のみなど、自由度があるため、従来の「共通ポイント加盟店」といった概念を覆す展開も見込まれています。
参考記事)日本経済新聞電子版(有料会員限定版)「PayPay参入、共通ポイント業界の勢力図はどう変わる」
更に、PayPayを皮切りに「ポイントによる資産運用」がトレンドとして広がってきています。
「PayPay資産運用」で100円から有価証券が購入可能になり、2024年からのNISA口座開設申し込みを開始しました。さらには、PayPayと連携し、手数料無料で残高チャージができる金融機関が1,000社を突破しています。
このPayPayによる資産運用の後押しは社会の流行の最先端になっていますが、その「流行りを掴むのが速い」事だけがPayPayの凄さではありません。
PayPayが事業を拡大している理由
PayPayがここ数年でここまでの事業拡大を進められていることには様々な理由が挙げられると思います。
一つには「超PayPay祭」という大規模キャンペーンを実施することによる、ユーザーにとってメリットとインパクトのある特典を提供している事です。
そして、地方自治体と連携して「あなたのまちを応援プロジェクト」等のイベントを行っていることも挙げられます。
これらのイベントが特徴的かつ集客力を持つことは勿論ですが、PayPayの強さは「顧客目線」であることです。
企業と連携することで企業が得をする、ビジネスとして利益に繋げることは勿論必要ですが、それだけを続けていては顧客は離れてしまいます。
以下に「顧客にとっていいサービスになるか」が顧客基盤の拡大に繋がるのです。
その代表例と言えるのが、PayPayのアプリの形式です。
PayPayアプリは決済だけで使えるのではなく、資産運用、銀行からの振り込み等全てのサービスをPayPayアプリのみで完結できるようになっています。
PayPayが提供しているアプリが一つのみというわけではありませんが、(銀行・証券のアプリは別途存在します。)新しくPayPayのサービスで何かを使用とユーザーが考えた時、アプリのインストールをしなくていいというのはかなりストレスフリーだと思います。
このようにしてPayPayはただの決済サービスだけではないマルチ決済サービスとして事業を拡大させているのです。
以下の記事ではTポイントからの企業の離脱についてまとめています。本記事と併せ、ポイント市場の動向を知るにお役立てください!
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