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エムズコミュニケイト 佐藤 信二
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こんにちは。CRM/ポイントサービスコンサルティングのエムズコミュニケイト(2018年4月に大日本印刷グループよりMBO致しました)が運営するポイントマーケティングラボ編集部です。
こちらのサイト、ポイントマーケティングラボでは、企業・事業会社のマーケティング・販売促進の担当者・事業責任者の方々に向けて、ポイント制度の導入やCRMのノウハウについて、プロの視点から惜しみなく情報を発信して参ります。
是非ご参考にしていただければ幸いです。
いかなるビジネスをしていても、せっかく顧客として利用してくれた人達が離れていってしまうものほど、悲しいことはないでしょう。
いかに努力しても顧客が離れてしまうその原因は一体何なのでしょうか?原因がしっかりと認識できていないから、離れてしまう可能性もあります。今回は、あらゆる角度から顧客離れについて認識を深めていきたいと思います。
顧客離れの原因・理由を考える
顧客離れというのは、どういった要因が多いと思われますか?商品の不満?サービスの不満?それぞれ原因を詳しく見ていきましょう。
1.商品に不満があるから
一番シンプルな要素が、商品に対する不満かもしれません。顧客が支払う対価に対しての商品の品質に問題がある場合、大抵顧客は離れていきます。飲食物であれば、「美味しくなかった」「口に合わなかった」など、もしくは「不味くはないけど、高価格を出すほど美味しくない」などです。また、顧客は商品への期待値が上がれば上がるほど、その商品に失望しやすいでしょう。高くなったハードルはそう簡単に越えることは難しいのです。
また、現状の商品に不満がなくても、モデルチェンジや仕様変更を行った場合、それをきっかけに不満が出る場合もあります。多くの顧客にとって望まない『変化』は、顧客の商品への不満を煽ってしまうかもしれません。このような避けられるはずだった不満は、顧客の声に真摯に向き合えば、状況によってはその事態は免れた可能性もあります。
しかし、顧客の心は移り気です。長年飽きさせずに、顧客の心を掴み続けるには新たな挑戦が必要なのは明らかでしょう。毎回同じ仕掛けや仕組み、パターンでは「つまらない」と感じてしまうかもしれません。
2.サービスの質に不満があるから
例えば、商品がいくら良くてもそれを提供する「人」が最悪だったら、その商品の印象や企業の印象さえも最悪になってしまいます。むしろ、人の印象というものは、思った以上に絶大で、良くも悪くも無い程度のもので、上質なサービスを人は受けるとそれだけで好印象になってしまうケースさえあるのです。また、アフターフォローが必要な商品でそれを受けられない場合も、顧客の不満につながります。「売りっぱなしなのか!」という怒りににさえ繋がる場合もあるでしょう。
また、クレームに対する対応の姿勢も重要な要素です。クレームというと、それだけで顧客離れの要因になりそうですが、迅速に適切に誠実に対応をおこなえば、顧客の信頼を勝ち得ることさえ出来るチャンスでもあるのです。そういった部分で、不適切な対応を行ってしまえば最後、顧客は二度と戻ってこないでしょう。
このように、担当者や社員の教育や、自身の態度を見直す機会は必要なのです。いくら忙しくても、それを理由に、甘えていては顧客に必ず逃げられて飽きられてしまいます。顧客は、企業側の傲慢さには敏感に反応します。
逆に言えば、顧客を大事にするようなサービス提供をしている事業者は顧客から愛されます。何度かリピートしている顧客が居れば、1度くらい商品自体がイマイチでも、大目に見てくれることさえあるくらいです。
形のない商品であればあるほど、提供側の姿勢が色濃く反映し、それが顧客離れに影響する度合いが強いと言えるでしょう。
3.商品・サービスまたは企業(ブランド)を忘れてしまったから
「素晴らしい商品・サービスは一生忘れられることはない」というのは、少ないケースでしょう。あまりにもその顧客の人生に衝撃をもたらすほどであれば、それはあり得ると主張する人もいるかもしれません。しかし、競合他社がひしめき、良いものが溢れているこの現代社会、似たような商品やサービスはたくさんあります。代替できてしまえば、それがその企業の商品から離れてしまうきっかけになるのです。
なので、そうならないためには顧客に商品・サービス、しいては企業(ブランド)のことを忘れてもらわないようにする仕掛け作りが必要になってきます。忘れられないように、毎日アプローチしてしまうのはさすがにくど過ぎて嫌われてしまいますが、ある一定の頻度で思い出してもらう仕掛け作りは非常に有効でしょう。
4.他に魅力的な商品を見つけてしまったから
競合他社は、常に動向を伺っていて、競争率が激しければ激しいほど、同等の価値をもたらす商品開発に力を入れてくるでしょう。商品も似たようなものを開発しますし、サービス面でも同等やそれ以上を目指してきます。たとえば、家電量販店の業界を見てみると分かりやすいかもしれません。量販店各社、はメーカーが作った商品を販売しています。どの量販店も、その店舗オリジナルの商品があるというわけではないので、価格勝負やサービス面勝負になってしまう節があります。それゆえ、付加価値として提供されているポイントカードののポイント還元率が10%という尋常ではない割合で、各社設定されています。それは、A社だけ10%というわけでなく、各社そういった設定がされているのがお分かりいただけると思います。
また、家電そのものについても同じようなことが言えます。あるメーカーが非常に機能性の高い洗濯機の機能を付けたとしたら、その機能を真似しようと各社躍起になり、似たような機能が付く事は往々にしてあります。特許などの関係もありますが、それに抵触しない程度に、消費者が「移れる」準備をしていくのです。そういった誘惑は、隣の競合は用意して待っています。なので、少しでも油断すると顧客は競合他社に魅力を感じて移ってしまうのです。
または、単純に競合が良いものを作って、それを「すごい!良い!」と感じたから移ってしまうことも良くあります。全ての顧客の全てのニーズに全て応えることは出来ないかもしれませんが、多くの顧客が他社に移ってしまうことが起きてしまうと言うことは、自社の商品やサービスに何か問題があるのかもしれません。
顧客離れの対策
では、上記で挙げたような理由で、顧客が離れていってしまわないためには、企業は一体何ができるのでしょうか?
原因別の対策、と言うより、ここにはある共通の対策が必要だと思われます。
①『本当の原因』を探る
これまである一定の割合で顧客離れが起きてしまっていたとすれば、今後同じような自体にならないためには、原因が何なのか分析することが何よりも大事です。それは、どの担当者も当然のことのように分かっているとは思いますが、その原因は果たして「本当の原因」なのでしょうか?
例えば、あるアパレルブランドが材料費の高騰などが原因で商品価格の値上げをしたとします。その結果、顧客離れが進み、売上・利益共に激減したとしましょう。一見、この顧客離れの原因は、「価格の高騰」にあるように思えます。しかし、本当にそうなのでしょうか?顧客は、たとえその新価格が商品の価値に見合っていると考えれば、顧客離れはそこまで進まないように思えます。もしかしたらその原因は、利益優先にした人件費の削減で、スタッフのサービスの質が劣っていると顧客が感じて、どんどん離れていっているかもしれません。
はたまた、商品の価格を上げたはいいものの、顧客がその企業の商品に求めるニーズに応えられておらず、顧客の声を無視したと感じた消費者が不満を感じて離れたのかもしれません。
このように、単純に「顧客離れの原因は価格高騰である」と言い切れないというのを、認識するべきでしょう。
②顧客管理が出来ているか
この顧客管理の部分は、商品の品質保持並びにサービスの質を下げないためにも重要なポイントです。すでに自社を利用していくれている顧客は、それぞれ満足に思っている点がそれぞれ違います。それを提供する企業側は把握していないと、顧客離れを起こす将来が待っているかもしれません。
と言うのも、例えばある顧客が顧客で居てくれる期間というのは、誰にも分かりません。出来れば長い方が嬉しいですが、その期間同じ販売担当者が居続ける可能性というのはどのくらいあるでしょうか?
分かりやすい例でいえば、美容院です。なかなかお気に入りのサロンが見付からない人もいますが、ある特定のサロンが気に入って通い続けてくれる顧客Aさんがいるとします。その人は、きめ細やかなホームケアアドバイスや、押し付けがましくない接客態度、そしてAさんの好みに合ったカットをしてくれるから利用していました。しかし、担当していた美容師さんがやむを得ない事情でそのサロンを辞めなくてはいけなくなったとき、その顧客Aさんはどうなるでしょうか?あまりにも担当者の人が気に入りすぎて、美容院を変えるかもしれません。しかし、同じ美容院で同等のサービスを受けられるとしたら、同じ店舗を利用し続けるでしょう。その顧客情報が、サロン内で上手く共有されていれば、Aさんの好みがしっかりと認知され、Aさんはこれまでと同じように満足のいく美容院のサービスを受けられます。
しかし、そうでなければAさんは失望し、いわゆる顧客離れが発生してしまうでしょう。こうした顧客の情報をいかに管理し、いかに共有されるかで顧客離れが防げるケースも多いのです。
顧客離れが起き改善された事例
では、実際に顧客離れが起きてそれが改善されたケースはあるのでしょうか?
実は、有名コーヒーショップチェーンのスターバックスコーヒーでそれは起きていたようです。
1996年に日本上陸以降、日本でも全国的に展開しているコーヒーショップは、本国アメリカでかつて危機を迎えていました。2007年頃に、飛ぶ鳥を落とす勢いで大量出店をおこなっていた同社ですが、その大量出店が顧客の「飽き」を創出し、その後顧客離れが進んでいったといわれています。この大量出店は「飽き」を顧客に感じさせたと同時に、サービスに対する失望も生んだようです。というのも、一気に店舗が増えたことで、人材不足が発生したり、社員教育が間に合わず、提供するスタッフの質が著しく落ち、それが顧客にガッカリさせてしまったのです。
その顧客離れが発生した当初、付け焼刃的に奇抜な商品開発などもおこないましたが、効果は出ませんでした。それもそのはず、根本的な原因が認識されていないからです。
その後、同社はスタッフの再教育と大量出店させた一部を閉鎖するという対策に出ます。提供するスタッフがそこで働くことに対して幸せを感じてもらわなければ、良い接客が出来ないと考え、スタッフそれぞれに「スタバで働くことの意義」について一緒に考えていったそうです。
大規模な社員研修を行ったり、赤字店舗を苦渋の決断で閉鎖したり、コーヒーマシンの改良にもてこ入れをしました。焦げたチーズの匂いがせっかくのコーヒーの香りを台無しにする、と売れ筋のはずだったサンドイッチを廃止にすることや、試行錯誤を繰り返し、スターバックスはようやく息を吹き返すのです。
大胆な経営判断を迫られたハワード・シュルツ氏は、このような対策を実施し、顧客離れから復活させたのです。
まとめ〜顧客離れが起きたことには、必ず理由がある。
顧客離れというのは、必ず理由があります。その理由というのは、表面的なものではなく、顧客の何かしらの思いがあって発生しています。「もっと商品が~だったら良いのに」「もっとスタッフが愛想が良かったら良いのに」など理由はさまざまです。大切なのは、その理由を勘違いせず正確に把握し、向き合い、それが起きないためにどうすれば良いか対策を練ることです。
そして、顧客に向き合うことです。短期的な利益を見据えた値下げなどは、すぐに効果が薄れます。本当に顧客のニーズにあっているのか、そもそものターゲットが見えていないのではないのか、顧客管理を含め、顧客の声を誠実に聞き取るということが大事といえるのは明らかです。
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