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地域通貨を活用した地域活性化!?市区町村ごとの成功事例も紹介!

こんにちは。 日本唯一のポイントサービスコンサルティングのエムズコミュニケイト(2018年4月に大日本印刷グループよりMBO致しました)が運営するポイントマーケティングラボ所長の岡田祐子です。

こちらのサイト、ポイントマーケティングラボでは、企業・事業会社のマーケティング・販売促進の担当者・事業責任者の方々に向けて、ポイント制度の導入やCRMのノウハウについて、プロの視点から惜しみなく情報を発信して参ります。
是非ご参考にしていただければ幸いです。

みなさん、「地域通貨」とは何のことかご存知ですか?
「法定通貨」は言うまでもなく、円やドルなどを代表とした税金や賃金などの強制通用力のある法的な通貨のことですが、地域通貨というのは、それとは異なる通貨の形です。

今回は、地域通貨とはどんなものなのか、仕組みやメリット、また問題点など「地域通貨」について詳しく見ていきたいと思います。

地域通貨とは?

「地域通貨」とは、目的やある地域に限って使われる通貨の事で、場合によっては法定通貨と同等の価値としてみなされることもあります。
英語では、community corrency(コミュニティ カレンシー)と言われていて、このコミュニティは地理的な地域という意味だけでなく、特定の価値観を共有するグループ内という意味も含んでいるとされています。

また、通貨の形としては、様々な形が取られています。
法定通貨のように、硬貨や紙幣など物質的な通貨を使う場合もありますが、仮想通貨として、物質的な通貨を使わないパターンもあります。
日本ではあまり馴染みのない「地域通貨」ですが、実は500以上が使われているのを知っていましたか? 少し前は日本でも地域コミュニティ再構築の効果が期待されて、一時は3,000以上の地域通貨が流通していたとのことです。

地域通貨で購入できるものは一体なんでしょうか?

主にその内容は、時間単位の労働が中心と言われています。 掃除をする、本人に代わって買い物をする、子どもの面倒をみる… 誰にでもできることに対価を発生させるのです。

このような誰にでも出来ることを「購入できるもの」として設定することによって、「助け合い」を発生させます。

地域通貨に期待される効果

地域通貨の導入は、地域の活動の担い手、活動が生み出すサービスの受け手及び活動の展開される地域には、どのような効果が期待できるでしょうか。

まず地域活動の担い手にとっては、地域通貨が使われることにより、前述したとおり、一般には法定通貨で取引しにくいボランティア活動、たとえば話し相手、買物代行などの、ちょっとしたサービスに対して、目に見える対価を受け取ることができますね。

これは担い手にとって活動を継続させる励みになります。
また、受け手にとっては、目に見える形で活動の対価を渡すことができるので、無償では少し依頼しにくかったサービスの提供を受けやすくなりますね。

一見こうした「誰にでもできる」サービスのやり取りが地域内で活発化につながります。
これは、住民同士がふれあう機会が増加することが期待されるのです。

地域通貨の課題と成功とは?

地域通貨の課題は、導入時・運用時両サイドに存在していると考えられます。 導入に際して考えられるのは、次のようなことでしょう。

まず、法的な知識が必要であること、通貨の流通や預かり金の精算など管理が複雑です。 そのため、運用ノウハウが必要です。 また、通貨として価値を持つので、不正利用や偽装などの事前対策も必要になります。 では実際に導入した後はどうでしょうか? 運用後には、次のような課題が挙げられます。

まずは、発行量の確保です。 そのためには、自治体だけではなく、頭打ちになるので、地域の事業者を巻き込む必要性があります。 このような地域通貨が貯まる場所や貯める手段の構築が必要となってくるでしょう。

また、地域通貨が交換できる十分な場所が必要です。 そして、何よりも利用してくれる人が居なければお話になりません。 地域通貨利用を促す啓蒙活動も必要になってきますね。

①流通量増加の仕組み

地域通貨の発行量を増やすためには、自治体主導にとどまらず、商店街の店舗ボランティア団体なども巻き込んだ「産・学・官・民」が一体となって活用できる仕組みの構築が重要です。 こうした仕組みにより、地域住民が地域通貨に触れる機会を自然と増やすことができます。

また、地域通貨の交換や利用が可能な場所は、住民の生活動線を意識して設計する必要があります。 地域に根ざした飲食店小売店など、日常的に利用される店舗で通貨が使えることが理想的です。

さらに、買い物に限らず、行政サービスの支払い手段としても地域通貨を活用できれば、より広い場面での流通と地域内経済の循環が期待されます。

加えて、地域通貨を使えば使うほどポイントが還元される仕組みを導入することで、利用促進にもつながります。 これは、nanacoなどの電子マネーが「利用に応じてポイントが貯まる」仕組みと同様の動機づけとなるでしょう。

②運用基盤の安定化

地域通貨を簡単に運用・利用できる仕組みの構築が運用安定化の近道です。
少しでも多くの加盟店やサービス事業者に導入してもらうためには、面倒な仕組みや難しいシステムを導入する必要があるものは、敬遠されがちです。
誰もが簡単に利用できる機械や媒体を利用することも、運用拡大の重要なファクターです。

また、地域通貨を扱うに当たって多くの顧客情報を取り扱う可能性が高いため、インフラ面でのセキュリティは強化しておく必要があります。 法定通貨の円もそうですが、偽造通貨が出回らないように、不正利用を防ぐセキュリティが重要になります。

地域通貨を活用している市区町村の事例

①福岡県八女市:「つながるバス停」で利用できる地域通貨

福岡県八女市が展開する「つながるバス停」は、地域通貨「まちのコイン」を活用した日本初のコミュニティライブラリー併設型バス停です。この取り組みは、地域の活性化や人と人とのつながりを促進することを目的としています。

  • つながるバス停」とは
    「つながるバス停」は、西鉄バス福島停留所前に設置された施設で、待合室の機能に加え、地域の情報発信や交流の場としての役割も果たします。施設内には約100冊の本が自由に読める本棚があり、利用者が待ち時間を有効活用できる仕組みが整っています。また、施設の内外装には八女市産の杉材が使用され、地元の魅力を感じられるデザインとなっています。
  • 地域通貨「まちのコイン
    「まちのコイン」は、面白法人カヤックが企画・運営するスマートフォンアプリを利用した地域通貨で、八女市ではその単位を「ロマン」と名付けています。この名称は、八女市が掲げる「大自然や歴史、伝統をつないでにぎわうまち」というコンセプトに由来しています。

 

②神奈川県横浜市:レシートを現金化

横浜市では、レシートを現金化するアプリ「ONE(ワン)」を導入し、地域経済の活性化を図っています。
このアプリでは、市内の飲食店で発行されたレシートや、デリバリー注文画面の写真を投稿すると、利用金額の20%が還元される仕組みになっています。これにより、迅速な住民支援と地域経済の活性化を同時に実現しています。

③岐阜県高山市・飛騨市・白川村:「さるぼぼコイン」

岐阜県の飛騨地域では、電子通貨アプリ「さるぼぼコイン」を導入し、加盟店でのお支払いやユーザー間の送金をコインで行うことで、地域経済の活性化や消費喚起を目指しています。
このアプリが他の電子通貨と大きく異なるのは、さるぼぼコインでしか買えない裏メニューや体験できないものがあることです。
現金に代わるただの電子マネーではなく、さるぼぼコインでしか提供できない付加価値を届けることで、長期的に多くの人に利用してもらえることができます。

 

さるぼぼコイン|飛騨地域限定の電子地域通貨で暮らしも旅もキャッシュレスに
さるぼぼコインタウン|飛騨・高山の裏メニュー

 

以下の事例は過去に導入された事例になります。ベンチマークとしてご活用ください。

④福岡県うきは市:「うきはPay」

うきは市では、宿泊や飲食などで利用できる電子チケット「うきはPay」を展開しています。
このサービスは、プレミアム付き商品券を電子化したもので、地域経済の振興と観光客の誘致を目指しています。また、妊産婦支援を目的としたデジタル給付金事業「妊産婦サポートタクシーチケット」にも同じシステムを活用しています。

紙のプレミアム付き商品券の管理負担やトラブルを課題としていたうきわ市は、電子チケット型二次元コード決済プラットフォーム「commoney(コモ二ー)」を導入。システム開発費不要で従量制の料金体系や当面の管理機能が決まり、令和3年8月に正式運用を開始しました。

うきはPayの概要はこちら(すでに終了しています)

⑤神奈川県:「かながわPay」

かながわPayは、神奈川県が実施しているキャッシュレス・消費喚起事業です。
この取り組みは、新型コロナウイルス感染症や物価上昇の影響を受けた県内産業を支援することを目的として始まりました。

利用者は専用アプリ「かながわPay(すでに終了しています)」をダウンロードし、対象となる店舗でQRコード決済サービスを通じて支払いを行います。対象のQRコード決済サービスには、au PAY、d払い、LINE Pay、楽天ペイ、はまPay、AEON Payなどがあり、さまざまな決済方法が対象です。

かながわPayの特徴

  1. 高いポイント還元率
    利用者は支払い金額の最大20%相当のポイントを受け取ることができ、一人当たりの上限は30,000ポイント(30,000円分)となっています。
  2. 神奈川県民に限らず、誰でも利用することができる
    対象店舗は、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、飲食店、ショッピングモール、美容院、ホテルなど多岐にわたります。

ただし、2023年9月5日に神奈川県からポイント付与終了の発表があり、現在は新たなポイント付与は行われていません。また、ポイントの付与には決済から8日かかるため、旅行者などの短期滞在者には使いづらい面があります。

そして、1つ重要なポイントがあります。
それは、ポイントの利用は神奈川県内のみで可能という事です。これは、決済が普及しても市区町村への還元がしくないという課題から生まれた解決方法で、あえてマルチ決済で対象範囲を拡大し利用エリアは絞るという作戦をとっています。

まとめ

地域通貨というのを、初めて聞いたこともある人も、もしかしてあれの事?と心当たりがある人もいたかもしれません。
地域の活性化に「地域通貨」を利用されてきた背景がありますが、上手く流通し人々に浸透するかが、成功の秘訣になっているようですね。

また、ポイントマーケティングラボ代表の岡田は、総務省や各自治体の地域ポイント事業をはじめとする事例を長年にわたり研究・分析しており、制度設計や運用に関する深い知見を有しています。
資料請求では取り扱っておりませんが、「地域ポイント制度を導入したい」「自治体との連携方法に悩んでいる」といったご相談があれば、ぜひお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
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※ポイント会計についてはEY新日本監査法人への執筆協力で『ポイント制度のしくみと会計・税務』(中央経済社)を出版。

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